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啓太の一日 ( 節分 )

 
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「 啓太~、 啓太~っ 」
「 なんや~、母ちゃん 」
「 裏に行って、柊の葉っぱを取って来て欲しいんやけど 」
「 一枚で良いんか? 」
「 この植木バサミで
    お母ちゃんの掌ぐらいの長さに切ってきて 」
「 うん、分かった 」
タッタッタッ
あれっ?
なんか居る ・ ・ ・
啓太は柊の物陰に何かを見つけると 忍び足で母の元へ舞い戻り
「 母ちゃん、なんか居るっ 」
「 えっ、何が? 」
「 来て、来てっ 」
啓太は母の割烹着の裾を引っ張りながら 裏の引き戸まで母を誘う
「 あれぇ~ 」
「 どうしたんや 」
「 うん、さっきあそこん所に
        大きい鼠みたいのがおったんやけど? 」
「 いつまでも啓太の事を待っててはくれへんよ 」
母は何事も無かった様に台所に帰っていった
「 よし 」
啓太は気を取り直して柊の葉っぱを選び
比較的、綺麗な葉っぱに目星を付けると
「 此れにしよう 」
パチン
切り取った柊をその小さな掌に握り締め
タッタッタッ
「 母ちゃん、此れでいいんか? 」
「 はい、啓太、ご苦労様 」
母は鰯の頭を出刃包丁で切り取り
啓太が持って来た柊の枝を鰯の頭に差し込んでゆく
「 母ちゃん、其れ、どないすんのや? 」
「 此れは昔から鬼が家の中に入らん様にする御呪いなんやで 」
「 ふぅ~ん、でも、なんで柊と鰯なん 」
「 母ちゃんも良くは知らないけど
      鬼さんは棘と生臭いのが嫌いなんじゃないかな 」
啓太は改めて鰯の付いた柊に顔を近づけ 臭いを嗅いで見た
「 うっ 」
「 ほんまや、僕もこんな臭いの嫌や~っ 」
「 啓太、其れを玄関の外に付けるから持っといで 」
「 うん 」
母は、玄関の引き戸の前に脚立を置くと
「 啓太、柊 」
「 はいっ 」
母は玄関上に柊を取り付け終わると
「 よし、後はお豆さんを煎ったら節分の準備万端 」
・ ・ ・
夕食後
「 啓太、お父さんと奥の部屋から豆まきをしようか? 」
「 先ずは床の間から 」
「 鬼は~外、福は~内 」
「 鬼は~外、福は~内 鬼は~外、福は~内 」
最後は玄関を開けて「 鬼は~外、福は~内 」
雪が積もった玄関の外に豆が巻かれると
黒い小さな影が目の前を横切った
「 あっ!」
「 あいつや、母ちゃん、ほら、昼間見た奴 」
「 どれどれ 」
母は引き戸から顔半分を覗かせ
「 啓太、あれはオコジョや 」
「 オコジョ? 」
「 母ちゃんも小さい時、一度だけ見た事が有るけど 」
「 まあ、小さいイタチやと思えばええ 」
「 おお、父ちゃんも小さい時に見たぞ 」
「 えっ、なんで? 」
「 父ちゃんは、ず~っと目が見えない訳じゃない
          小学生の時はちゃんと見えてたんだ 」
「 今の啓太を 見ることが出来ないのは残念だがな 」
「 啓太、寒いからもう戸を閉めるよ 」
ガラガラガラ
まだまだ、オコジョを視て居たい啓太の前を
無情な引き戸が閉まってゆく
・ ・ ・
「 啓太、歳の数だけお豆さんを食べるんやで 」
「 え~っと、僕は七つ食べていいの? 」
「 父ちゃんと母ちゃんはいっぱい食べられるんや 」
「 お腹を壊さない様に、大人の数は決まってないさ 」
・ ・ ・
其の夜 啓太は夢を見た
オコジョに成った自分が 家々の前の豆を食べ歩き
お腹いっぱいで巣穴で丸くなって眠る夢だった

 

 

 

 

 

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