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啓太の一日 ( ヒシの実 )

                                啓太の一日 ( ヒシの実 )

 

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「 あ痛っ 」
「 啓太、鬼皮ん所が尖ってるから 気ぃ付けるんやで 」
「 母ちゃん、これは一体なんなん? 」
「 これか、これはオニビシて言う 水草の実や 」
「 ふ~ん 」
「 ほら テレビでよく 忍者が逃げる時にマキビシを撒いてるやろ
                  あれはオニビシを乾燥させたやつなんやで~ 」
「 こんなん踏んだら あ痛、痛、たやもんな 」
また 菱は繁殖力に富、其れにあやかって桃の節句のひし餅は
子孫繁栄を願い 菱に似せられて作られたそうである
「 啓太、今 二つに割ったげるからなっ 」
母ちゃんは まな板にオニビシを置くと 出刃包丁で
トン、ガン!
菱の実は 真っ二つに割れ 中には乳白色の中身が垣間見える
母ちゃんは 爪楊枝でくるりと中の実を抉ると
爪楊枝に刺した白い実を 啓太の目の前に差し出し
「 ほら、食べてみぃ~ 」
「 う、うん 」
コリ、コリ、モシャ モシャ
「 どうや 美味しいか? 」
「 う~ん・・? 」
「 まぁ、余り美味しいとは言えんか・・ 」
啓太が今、口に入れた菱の実は 塩茹でにされた物で
けっこう口当たりは硬く 淡白な栗と言った感じである
・・・
翌朝 顔に手ぬぐいを巻いた啓太が母に
「 母ちゃん、昨日のオニビシの殻は何処に有るんや? 」
「 昨日のお風呂の焚き付けにくべてしも~たよ 」
「 え~っ もう無いんか~っ 」
「 其れより 啓太のその格好は何なん 」
「 忍者に決まってるやん そやから マキビシが要るんや 」
「 ほんまに もう残ってないんか 」
「 残念やけど もう 残ってないな~ 」
「 あ~ん 」ドンドン、ドンドン
啓太は床を踏み鳴らし 地団駄する
「 もぅ、しょうが無いチビ忍者やね~
   母ちゃんが 手裏剣を作ったげるから 色紙を持っといで 」
「 ほんまか~ 」
「 いっ、今取ってくるから 嘘吐いたら針千本やで 」
バタバタバタ
・・・
「 母ちゃん、此れでええかっ 」
「 卓袱台で 作ってあげるから こっちにおいで 」
啓太はワクワクしながら 母の横に座り込んだ
「 啓太、母ちゃんが手裏剣を1つ作ったげるから
   よ~く見てて 後は 自分で作れる様にするんやで 」
「 うん 」
母は帆掛け舟を折り 此れを折り合わせると
「 啓太は作れるかな~っ 」
「 そんなん 簡単やっ 」
「 じゃあ 作ってごらん 」
・・・
「 あれっ、あ・・・ 此処ん所どうするんや? 」
「 母ちゃんの作った 手裏剣を解いて考えてみなさい 」
・・・
「 あっ、解かった! 」
「 もう 自分で作れるなっ 」
「 うん 」
啓太は 卓袱台の上で一心不乱に手裏剣を十個作り上げ
「 母ちゃん 勇作兄ちゃんの所 行ってくるっ 」
「 手裏剣を人の顔に向けて投げたらあかんよ~っ 」
「 は~い 」
・・・
啓太は七木家の土間に飛び込むと
「 勇作兄ちゃん~ 」
のっそりと顔を出した 重蔵じいちゃんが
「 勇作なら 納屋の方に居とると思うがな~ 」
「 うん ありがとう 」
啓太は 納屋の脇に勇作を見止めると
 母に言われた通り 勇作の足元目掛けて手裏剣を放った
「 おっ、啓太か~ 」
勇作は足元に落ちた手裏剣を拾い上げ
「 どうしたんや これ 」
「 母ちゃんに作ってもろた 」
「 この藁を片付けたら 俺も作るから 少し待っとけ 」
「 うん 」
片付けを終えた勇作は 服に付いた藁屑を払いながら
「 う~ん 啓太よりデカイ手裏剣を作ってたるかなぁ~ 」
・・・
勇作は 家の奥から新聞紙を土間に広げると
「 こいつで デッカイ手裏剣を作たるで~ 」
「 うわ~っ こんなんで作ったら大きいやろな~ 」
「 三枚位重ねたら 丈夫な手裏剣に成るやろ 」
「 うん、うん 」
啓太は 勇作の隣で 其の一部始終を胸を弾ませ見守った
「 出来た~っ 」
「 わっ、大きいなぁ~ 」
「 勇作兄ちゃん 僕のも作って~や 」
「 俺は もっと作るから 啓太の分は自分で作れ 」
「 うん、作ってみる 」
やがて 出来上がった手裏剣は お世辞にも出来の良い物言えないが
それでも 三つの手裏剣を折り上げ 啓太は満足げであった
「 啓太、田んぼに行って 投げてみっか 」
「 うん 」
・・・
稲刈りを終えた田んぼは 子供達にとって格好の遊び場である
「 啓太、見てろよっ 」
勇作は そう言うと 新聞紙作った自分の手裏剣を
思いっきり 真上に振り上げた
勇作の手から放たれた手裏剣は 鋭く回転しながら空高く舞い上がり
「 わっ、凄い、凄い 」
再び 回転しながら落下し 遂には田んぼに突き刺さった
「 僕もっ、えいっ 」
啓太も 勇作に習い 思い切り手裏剣を放り上げる
しかしながら 手裏剣は 勇作の半分の高さに満たない所で失速して
田んぼに落ちると 手裏剣の先が折れ曲がり 何とも悲惨な形と成ってしまった
「 うん、も~っ 」
啓太は 田んぼに足型が残るほどに地団太を踏む
「 アハハッ、ちっこい啓太には ムリ、ムリ 」
「 潰れちまった奴は諦めて 其処の新しい手裏剣を俺の方に投げてみろ 」
啓太は勇作の言う通り 新しい手裏剣を手に持ち
「 えいっ! 」
「 うっ、やられた~っ 」
啓太の放った手裏剣は 勇作のお腹辺りに命中すると
勇作は 大袈裟に手裏剣を抱えたまま 大の字に倒れて見せた
「 当った、当った 」
「 あはははっ 」
「 あははっ 」
その後 啓太と勇作は距離を伸ばしながら
代わる代わるに 手裏剣を投げ合っては過ごした
・・・
其の夜 啓太は夢を見た
大きな手裏剣の上に乗って 啓太は飛んでいた
ズボンのポケットから ヒシの実がこぼれ落ちる
啓太はポケットを押えたいが 手裏剣から落ちてしまいそうで
どうにも手を動かすことが出来ない
遂には ポケットの中のヒシの実は全て無くなってしまった
「 あ~ん 」
夢に身悶えして 寝言なぞを漏らす 啓太であった

 

 

 

 

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