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啓太の一日 ( ホタル )

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「 ほ~、ほ~、蛍来い こっちの水はあ~まいぞ 」
啓太 一夫 勇作の三人は 小川沿いの小道を 蛍を求めて歩き回っていた
啓太達のお目当てである ゲンジボタルは 幼生の頃にはカワニナなどを捕食するが
成虫は 発達した口を持たない為 露を啜る程度で 僅か二週間程の逢瀬なのだ
かなり 眉唾ではあるが 筆者が聞いた話では
車のハザードを点けていれば 蛍が飛んでくるなどと言う 話を聞いた事も有る
啓太は 虫かごを肩から掛け 手には竹箒を携え歩き回る
この竹箒を 光る蛍の下からこそぐ事で 蛍を竹箒に絡め取る按配なのだ
補虫網と違い 少々乱暴に扱っても 破れる心配は無いのだが
如何せん 全ての蛍を竹箒に絡め取れる訳ではない
「 あっ、勇作兄ちゃん 落ちてしも~た 」
「 啓太、下で光っていても 迂闊に手を出すんじゃね~ぞ 」
「 蛇の目と間違えれば 噛み付かれるぞ 」
「 えっ、そうなんか! 」
「 あれっ、また 落ちてしも~た 」
「 啓太も 一夫も 箒で受ける様に もう少しゆっくりしなあかん 」
「 あっ、飛んでった、」
「 あ~ あ~っ 届けへん 」
タッ タッ タッ パサッ
勇作は 走り寄るとジャンプしながら 竹箒を突く様に 見事に絡め取る
「 うわ~ すごい、すごい 」
啓太と一夫は 勇作の雄姿に見惚れ 感嘆しきりである
「 ほら、一夫 」勇作は得意満面の笑顔で 蛍を一夫に渡した
「 勇作兄ちゃん 僕にも 取って~な 」
「 次に 捕まえたら 啓太にもやるさけ 待っとけ 」
「 うん 」
・・・
やがて 虫かごの中には 数十匹の蛍が捕らえられ
蛍の明かりで夜道を歩ける程に成ると 勇作が二人に向って
「 もう 此の辺でええやろ 帰ろうか? 」
「 うん、早よ 母ちゃんに蛍を見せたらな 」
「 僕も! 」
「 そんなら おやすみ~ 」
「 一夫、急ぎすぎて 川に填まるなよ~ 」
啓太が 家の前まで来ると 父と母が揃って 玄関前の縁台に腰掛けていた
「 啓太 お帰り、蛍は 沢山取れた様やね 」
「 うん、ほら見て! 」と母ちゃんの目の前に 虫かごを差し出した
父は「 蛍の匂いがするから 父ちゃんにも 判るでっ 」
「 ほんま 」啓太は 虫かごから蛍を一匹 取り出すと匂いを嗅いでみた
「 あっ! 」
蛍を潰さないように そっと握った啓太の手の隙間から 蛍は飛び立ち
父ちゃんの オデコに・・
チカッ チカッ チカッ
「 あははは 父ちゃんのデコチンが光っとる 」
「 啓太 むず痒いから 早よ取ってくれ 」
「 う、うん 」
啓太は ズック靴を脱ぎ 父ちゃんの膝に乗ると オデコに手を伸ばした
蛍は 父ちゃんの頭に這い上がり 髪の毛の中に潜り うつろな光跡を描いてゆく
其の様子を見ていた母が
「 啓太 蛍を潰さん様に 取るんやで 」
啓太は 小猿が毛づくろいをする様に 父の髪の毛を掻き分け 蛍を探したが
「 あっ、飛んでった 」
蛍は いち早く 啓太の探索を逃れ 空高く舞い上がって行った
啓太は 蛍の放つ光跡を 父ちゃんの頭を抱えて 呆然と見送る始末であった
・・・

 

 

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