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2012年6月22日の1件の投稿

啓太の一日 ( カエル城 )

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「 おーい 稲、投げてくれ 」
「 はい、いくよ 」「 おっし 」「 はい 」「 おっし 」
畦を隔てた向こう側から 大人たちの声が聞こえる
今日の母は 稲掛けの手伝いに来ていた
啓太の村では 水田の畦脇に 自然木が整然と植えられ この時期
枝を掃われた木に 横木を縄で縛った物に 稲を掛けて 天日干しを行う
このように植えられた木々は
       防風林の役目を果し 稲を冷害から守って繰れても居る
さて、この日の 啓太はといえば
       一夫と二人で 田んぼの縁で なにやら蠢いて居る様である
「 啓太、トノサマガエル 捕まえたぞ! 」
「 一夫、少し待ってて 今、カエルを入れる所を作るから 」
啓太は 水田の柔らかい土を すり鉢状に掘ると 泥土で周りに壁を作り上げた
「 一夫、カエル牧場が出来たから どんどん カエルを捕まえてくれ 」
「 そんじゃ まず いっぴーき 」ゲコ ゲコ、ピョーン
「 アッ、逃げたー 」
啓太はカエルの動きに合わせるように ヒョコ、ピョコ
背後から 飛び跳ねるカエルの足を 要約 捕まえて
「 逃げたら あかんのやで 」
啓太の眼前で 後ろ足を握られたままのカエルは 怪訝な面持ちで ゲコッ!
「 啓太、壁が低いから 捕まえて来ても 逃げられちゃうよ 」
「 うん、分かった、もっと高い壁にするから 少し待ってて 」
啓太は 先に作った壁の外側に 更に高い壁を作り
「 一夫、カエルを入れてみてっ 」
「 これで 大丈夫やろ 」「 うん 」
「 啓太、真ん中にお城を作ろうよー 」
「 うん 」「 お城っ、お城っ 」
・・・
やがて 出来上がったお城は 啓太たちの背丈の半分程も有る大きな物でした
「 お城に入れる カエルさんを沢山 捕まえなくっちゃ 」
「 うん、そうやなー 」
啓太たちは 落ちている稲わらの先を縦に小さく切り
近くの草むらで バッタを捕まえると 胴体を挟み込んでゆく
其の先を カエルの居る所でチラつかせ カエルを釣ろうと言うのである
もちろん、針なぞ付いていないのだから 食いついたら 素早く捕まえねば成らない
しかしながら 二人とも 見事なほどに 食いついたカエルを次々に 鷲掴みにして行く
やがて カエルの数が 二十数匹に達する程に集まった
カエル城の住人を眺むるにつけ それぞれに個性が有るのに気が付く
保護色の関係か カエルを捕まえた場所によって その体色はマチマチである
水辺の草むらに居たものは やはり 緑色が濃く
田んぼの畔当りで捕まえたものは 土色が濃いように思える
「 この 大きい奴は 王様やっ、」
「 殿様の王様なんかー? 」
「 ハハハハッ、そゃなー 」
「 よ~し、もっと 捕まえるぞー 」
啓太はまだまだ カエルを集めるつもりであるが 一夫は少し飽きて来たのか
カエル釣りもそこそこに なにやら 籾藁を焼いている場所に蹲っている
啓太の奮闘の結果、カエルの数も三十匹を越え、最早数えられなくなってしまっていた
啓太は 要約 一夫の様子に気付くと 近くまで走り寄って 声を掛ける
「 一夫、なにしてるんやっ 」
一夫は無言のまま 黒く焼けた籾藁の灰の中に 小枝を突っ込み なにかを引っかき出した
中からは 湯気を立てた 黒い塊が飛び出してくる
「 なんや、これ 」
「 うん、焼き泥ダンゴやっ 」
「 アハハハ、僕も作ろーっ 」
二人の興味は 既に カエル達の事なぞ忘れ 泥ダンゴに御執心である
「 啓太~っ、帰るよー 」
稲掛けを終えた母が やや遠くから 声を掛ける
二人は 未だ固まっていない 泥ダンゴに未練を残しながらも 母の元に駆け寄った
「 なんや、二人とも 泥だらけになっても~たなっ 」
啓太達は お互いを改めて見つめると なるほど 泥の塊に近いものがある
「 一夫、ほんまに 泥んこやでー 」
「 啓太かって、ドロドロの真っ黒やっ! 」
「 ハハハハッ、」「 フフフフッ、」「 ハハハッ、」
「 二人とも 笑ぅてないで さっさと家に帰って 丸洗いや 」
・・・
この夜 啓太は夢を見た カエルの王様の前で
 周りに居るカエル達に泥団子を投付けられるという なんとも 嫌な夢である

 

 

 

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